今日は「人間アレルギー なぜ「あの人」を嫌いになるのか」という本を紹介します。
私はこの本のタイトルに目を引きつけられて、図書館から借りてきて、あっという間に読んでしまいました。
というのも、私にも苦手な上司がいて、その人との関係を一刻も早く改善させたかったからです。
あなたにも、どうしても許せない人、受け付けない人は、いませんか?
それはもしかしたら、人間アレルギーかもしれません。
人間アレルギーとは
人が人を心理的に嫌いになることは、食物などに対する身体的なアレルギーと、とてもよく似ています。
精神科医であり作家でもある岡田尊司(おかだたかし)さんは、本書でそれを人間アレルギーと言っています。
たとえばある人に対して、どうしようもない拒否感を抱いたとします。
コップから水がどっと溢れ出すように、限界を超えてしまったら、その拒否反応は心だけでなく体にも現れます。
心理的な拒否は、生理的なレベルに及ぶ。その姿を見、声を聞いただけで、体がこわばり、肌が粟立ち、動悸がして、胃腸の具合さえ悪くなる。
引用元:人間アレルギー(岡田尊司 著)
ね?アレルギーに似ていると思いませんか?
アレルギーも、ある特定な物質に対して、過敏に反応することから起こります。
今はちょうど4月で、スギやヒノキの花粉が飛んでいますが、あんなに小さな花粉に対しても、体が異常なまでに拒否反応を示すことがありますよね。くしゃみが止まらなくなったり、目がかゆくなったり。
それと同じような拒絶反応が、実は人間関係でも起こりえるのです。
人間の人間に対する過剰な異物認識と心理的な拒絶反応―それを私は「人間アレルギー」と呼びたい。
引用元:人間アレルギー(岡田尊司 著)
人間アレルギーを改善するには
本書には、人間アレルギーの基本症状からメカニズム、さらには克服する方法も書かれています。
自分でも嫌で嫌で仕方がないアレルギー症状を、どうすれば和らげることができるのか。
岡田尊司さんは以下の二つを柱にして、対処法を唱えています。
1.過剰な異物認識を変える
人間アレルギーは、相手を必要以上に異物と感じてしまうことから生じます。
過剰なアレルギー反応(結果)を変えるには、まずは過剰な認識(原因)を変えなければなりません。
2.人間アレルギーを抑える仕組みを活かす
人間アレルギーを抑えるもう一つの仕組みとは、ずばり「愛着」のこと。
安心できる人との信頼関係ができれば、他の人との関係も安定して、アレルギーも起きにくくなってきます。
※このブログでは、人間アレルギーの対処法について、かなり簡略に書いています。さまざまな対処法・具体例については、本書でご確認くださいね。
人間アレルギーは不治の病ではない
私は本書を、むさぼるように読みました。
前述の上司との関係を、すぐにでも改善したかったからというのもありますが、それ以上に本書が刺激的で面白かったからです。
人間アレルギーと身体的なアレルギーを、ここまで強力に結びつけた本は他に知りません。
そして、身体的なアレルギーが緩和することがあるように、同じプロセスをたどっていけば、人間アレルギーも改善されるだろうと思いました。
人間アレルギーは、ほうっておくと健康や寿命にもマイナスの影響を及ぼす。しかし、それは不治の病ではない。人には自己回復の仕組みがある。そして、原因と症状それぞれに、適切なステップを踏んで対応していけば、克服できるのだ。
引用元:人間アレルギー(岡田尊司 著)
岡田尊司さんはそう仰っています。
人間アレルギーに悩むあなたに、おすすめの一書です。
※心理学者や精神科医の書いた本を読みなれていない場合だと、この本はちょっと難しいかもしれません。
同じ心理学関係の本なら、河合隼雄さんの著書がおすすめ。このブログで感想文も書いています。
コメント