おひとりさまの本当の意味は?その定義や語源についてまとめました。

「おひとりさま」という言葉から、あなたはどんなことをイメージしますか?

私はつい最近まで、「おひとりさま」というと「一人暮らしをしている独身の人」というイメージがありました。

ところが、「おひとりさま」をテーマにしているこのブログで、読者アンケートをとったところ、そのイメージが覆されました。このブログを見ている過半数の人が、現在一人暮らしをしていないことが分かったからです。

詳しくはこちら⇒「おひとりさまの本音」読者アンケートの結果発表!

つまり、誰かと一緒に暮らしていても、「おひとりさま」というのはあり得ます。

ではそもそも、「おひとりさま」という言葉はどんな意味を持っているのでしょう。

その定義について、詳しく調べてまとめてみました。

「おひとりさま」辞書での意味は?

「おひとりさま」という言葉について、まずは辞書で調べてみましょう。

(1)飲食店などに一人で訪れる客を指す表現。主に店側が用いる言い方。
(2)婚期を逃した女性を指す言い方。いわゆる「行かず後家」のことであるが、独身を謳歌しているというニュアンスを込めて用いられることもある。

引用元:辞典・百科事典の検索サービス – Weblio辞書

(1) は、ファミレスなどでよく聞かれる言葉ですね。

「お客さまは何名様ですか?・・・おひとり様ですね。では、こちらの席にどうぞ」と、ウェイトレスさんがよく言っているようなセリフに出てくる言葉です。

(2) は、いわゆる独身者を指している言葉ですね。

「婚期を逃した」「行かず後家」というと、ネガティブなイメージがありますが、「独身を謳歌している」というと、ポジティブなイメージがあります。

(1)と(2)が、「おひとりさま」の一般的な意味でしょうか。

「おひとりさま」の語源をひも解くと・・・

2001年:「おひとりさま」という言葉が生まれる

では「おひとりさま」という言葉の語源は、どこにあるか。

「おひとりさま」というのは、ジャーナリストの岩下久美子さんが、2001年に発刊した同名の著書によって初めて提唱された用語です。


おひとりさま

著書ではこの言葉について、次のように定義されています。つまりは、自立している女性ということですね。

「おひとりさま」とは、「個」の確立ができている大人の女性。仕事も恋もサクセスするために身につけるべき生き方の哲学。

引用元:『おひとりさま』 「MARC」データベース

ところが岩下さんは、この本が発刊された2001年に急逝されてしまいます。

2005年:「おひとりさま」が流行語大賞にノミネート

岩下さんが主宰していた「おひとりさま向上委員会」は、その後、葉石かおりさんが代表を務めます。「おひとりさま」という言葉は、ますます世の中に広がっていきます。

そして2005年、「おひとりさま」が流行語大賞にノミネートされました。

葉石さんのインタビューもネットで見つけたので引用します。

「”おひとりさま”とは、精神的に自立した大人の女性のことです。ただし『男なんかに負けてたまるか』と肩を怒らした、仕事命の猛女タイプの女性ではありません。仕事を大切にしながら、自分だけの時間も楽しみ、なおかつ彼氏とか家族との時間も充実させることができる。ゆとりのある、柔らかでしなやかな女性を指しているのです。」

引用元:「おひとりさま」の本当の意味――きき酒師・エッセイスト 葉石かおりさん(ITmedia)

「おひとりさま」の意味について、葉石さんも岩下さんと同様に、「精神的に自立している」ことをアピールしています。「自分ひとりの時間も楽しむことができ、他者との時間も楽しむことができる」というのもポイントです。

2007年:『おひとりさまの老後』がベストセラーに

2007年に社会学者の上野千鶴子さんが出版した『おひとりさまの老後』が、75万部を突破する大ベストセラーとなりました。


おひとりさまの老後

「おひとりさま」という言葉は、元々「自立している女性」という意味がありました。ところがこの本によって、その意味はご高齢の単身女性にも当てはまるようになりました。

働いている女性に限らず、お年を召された女性であっても、「おひとりさま」と呼ばれるようになったんですね。

「おひとりさま」の用語は、早くから「おひとりさま」マーケットに注目した岩下久美子さんが提唱したものだ。それ以前から、接客業では「おひとりさま、カウンター席へご案内」というふうに使われていた。それに着目したのは岩下さんの手柄だが、その対象は、購読力のある年齢層の、働く「おひとりさま」に限られていた。それを『おひとりさまの老後』と高齢単身女性に拡張した本書は、これまで「みじめさ」の代名詞だった高齢単身女性のイメージを、180度がらりと変えた。

引用元:『おひとりさまの老後』文庫版あとがき

岩下さんや葉石さんと同様に、上野さんも「おひとりさま」という言葉をポジティブに使っています。

2009年:『男おひとりさま道』が出版

さらに上野さんは、『男おひとりさま道』という本を2009年に出版しました。


男おひとりさま道 (文春文庫)

「おひとりさま」という言葉は女性に限らず、男性も包括するようになったと言ってもいいかもしれません。

【まとめ】おひとりさまの定義は、自立して楽しんでいる人のこと。

「おひとりさま」の意味や定義について、まとめてみました。

いかがでしたでしょうか。

岩下久美子さんが提唱して、葉石かおりさんが世に広めた「おひとりさま」という言葉。元々はこんな風に定義づけられていました。

1. 精神的に自立している。
2. 自分ひとりでも楽しむことができて、他者といても楽しむことができる。
(家族と同居しているか、結婚しているか、交際相手がいるかは関係ない)

そしてその意味は、上野千鶴子さんによって、ご高齢の単身女性(男性)にまで広がりました。

岩下さん、葉石さん、上野さんに共通して言えるのは、「おひとりさま」という言葉をポジティブにとらえていること。

ひとりの時間を楽しもうとしている人に対して、エールを送るような言葉なんですね。

私も一人暮らしをしている独身女性として、「おひとりさま」を楽しみたいものです。

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