「結婚しなくていいですか。すーちゃんの明日」を読みました。
思いがけず心に沁みて、誰かと感想を共有したいのに、主人公のすーちゃんと同じく、私もおひとりさまです。小さくて古いアパートの一室で、口をつぐんだまま、眠れない夜を過ごしてしまいました。
余韻が残るうちに、このブログに感想を綴りたいと思います。
「結婚しなくていいですか。すーちゃんの明日」あらすじ
この本は益田ミリさんによる、ハートフルな4コマ漫画。
すーちゃんシリーズとして現在4冊発刊されているうちの、2冊目に当たります。(これだけ読んでも、充分話は楽しめます)
文庫の裏表紙には、こんな風に書かれています。
このまま結婚もせず子供も持たずおばあさんになるの?スーパーで夕食の買い物をしながら、ふと考えるすーちゃん36歳、独身。ヨガ友達のさわ子さんはもうすぐ40歳。寝たきりの祖母と母との3人暮らしで、13年間彼がいない。恋がしたい。いや、恋というより男が欲しい。女性の細やかな気持ちを優しく掬いとる、共感度120%の4コマ漫画。
引用元:結婚しなくていいですか。すーちゃんの明日(益田ミリ 著)
主な登場人物は、すーちゃんと、さわ子さん。
すーちゃんがヨガスタジオに通いはじめたところ、昔のバイト先の先輩であるさわ子さんと再会します。
すーちゃんは、カフェの店長として働いていて、ひとり暮らし。
さわ子さんは、経理事務をしていて、祖母や母と同居。
ライフスタイルは違っていても、共に30代で独身。彼氏もいません。
結婚のこと、出産のこと、仕事のこと、老後のこと、等々……ひとりでいると、とりとめもなく考えてしまいますね。すーちゃんも、さわ子さんも、さまざまなことを考えますが、その問いかけには、完成された答えというものがありません。
そんな二人のモノローグが、あまりにもリアル。同世代の独身女性なら、きっと分かりすぎてしまうものばかりです。
「共感度120%」というキャッチコピーは嘘じゃない
「共感度120%の4コマ漫画」
文庫本の背表紙にあるキャッチコピーは、決して言い過ぎではないと思います。
100%共感できる本なら、ただ頷いて終わってしまうだけでしょう。ところが、すーちゃんシリーズは、+αがあります。
「あ、私もこんなことを不安に思っていたんだ」
「そうそう、こんなことにムカつくよね!」
「うん、こんなときが、切ないんだよね……」
すーちゃんたちに自分を重ねて読み進めていると、気づいているようで気づかなかった感情に光が当たります。なかには盲点を突かれて痛い感情もあるけれど、それさえも心地いいのです。
すーちゃんシリーズの+αは、そんな感情に気づかせてくれて、なおかつ、すくいとってくれるところにあります。
たくさん考えたおばあさんになりたい
以下、ネタバレになりますが、モノローグを引用しますね。
すーちゃんが、「寝たきりなんか絶対にやだな~」「元気で長生きがいちばん!!」と思ったあとに、つぶやいたモノローグです。
誰が 好きこのんで 寝たきりになりたい?
なりたい人なんかいるわけない
なりたくてなる人なんかいるわけない「元気で長生きがいちばん」って もしかしたら誰かを
キズつけてる言葉なのかな?知らず知らずのうちに鈍感になってる
自分の言っていることの意味を考えなくなってる気をつけなくちゃ
たくさん考えて
たくさん考えたおばあさんになるのだ~引用元:結婚しなくていいですか。すーちゃんの明日(益田ミリ 著)
私は、このモノローグに出会ったとき、ハッとさせられました。
「あっ、考えすぎるくらい、考えてもいいんだ」……って。
私も40代で独身だから、悩むことは沢山あります。すーちゃんや、さわ子さんのように、将来のことを考えたらきりがありません。
それでも、考えなくなる方が、むしろ怖いんですよね。知らないうちに鈍感になって、うっかり誰かをキズつけてしまうかもしれません。
「悩んでもいいんだ」……って、肯定されたような気がして、ホッとしました。
すーちゃんや、さわ子さんは、どんなことでも素直に正直に考えているから、優しさが滲み出ているのかもしれませんね。二人の人柄がいいので、物語を読んでいて救われます。
私もたくさん考えたおばあさんになりたいです。
※すーちゃんシリーズは、2013年に映画化されています。
主演は、柴咲コウさん、真木よう子さん、寺島しのぶさん。
こちらも気になります~
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